ラサアプソ ジャパンのHPへGo!↓
破門になった弟子のボンボンです。 今日はお母んにかわって、僕がクララ姉ちゃんの報告に来ました。 まずはこの写真を!ショック!オーマイ・ゴッド! 「臨月のキャサリン・セダ・ジョーンズかと思ったらクララじゃん。」 とお母んはうそぶいていますが、僕はこれを見る度に悲しくて涙がこぼれます。 あの美貌は何処へ行ったのでしょうか? 師匠だってこれを見たら「千代大海だ」と思うでしょう。 「カルマだ」 僕は殿様カエルに変身した姉ちゃんに、思わずオム・マム・ペムフムとチベットのお経を唱えていました。 11月17日 夕 クララ姉ちゃん、動くたびに背中が痙攣。 踊る宗教の北村サヨさんのように「おらが腹に神が宿った」と言って踊っている。 怖い・・・・怖すぎる! 11月18日 朝5時半 朝食前のお勤めに出かける時間だ。 「昨夜から陣痛がはじまったわ。」とお母んが言った。 クララ姉ちゃん、ヒィー・キャィ〜ンなど時々意味不明のうめき声を上げて身もだえしている。 すでにトランス状態だ。もうすぐ白目をむいて首をグルグル回転させるつもりだ。 怖いので、僕は振り払うように皆と散歩へ出かけた。 庭に面した部屋はダンボールや、大きな洗面器や、様々な器具や道具が揃えられていた。 散歩から戻ると、すでに大騒ぎだった。 「オーマイ・ゴッド!」お母んが両手を口に当て叫んだ。 「お産は毎回違うっていうけどこんなの初めて。どうしよう?」 父上が、姉ちゃんのしじみ貝を覗いて言った。「何コレ?ふたついっぺんに出てきたってこと?」 僕は神さんがふたつ出てきたのかと慌てた。 見ると、確かにクララ姉ちゃんのしじみ貝から、ぬるぬるしたタマタマのようなものが 予定日は23日だが前後の5日はみて置くようにと、一昨日のレントゲンで主治医に忠告されたばかりだ。 早産ならこれまでもあったので驚かない。問題は予想外のことが起きている事であった。 これは大出産だ。僕は初めて事の次第を理解した。 「胎膜に包まれている赤ちゃんの頭部をガーゼなどに包んで、いきみに合わせて引っ張る」 というのがマニュアルである。しかしこれはあくまでも1頭を基準にしていた。 ふたついっぺんでは母体も仔犬も危険だ。 「プライオリティーは母親だ。仔犬は犠牲にしてもクララを助けなさい。」と父上。 お母んが時計を見た。6時半。獣医は9時からだ。 クララ姉ちゃんはボーッとしゃがんだまま動かない。 どうしたらいいのか、自分の身体に何が起きているのかその顔はまったく理解していないようだった。 聞くところによるとトントンママはお産の前には巣箱をこしらえたり、 ことにこの2―3日はお母んの側から離れない。 自分に何が起きるのか、不安で不安でたまらないのだ。 「お前たちは今日一日助産婦の助手をやれ。いいな。」父上が命じた。 [ボンボンの少年助産夫。乙女系のぼくにピッタリのお仕事だ◎#] 僕は、全長13cmのご自慢のマツ毛をパチ☆パチ☆させて合点の返事をした。 「腹が減っては戦は出来まい。長期戦だ。全員朝飯にしよう。」 お母んもコーヒーを飲みたいからと隣のキッチンへ移動し、ドアを閉めた。 それから2分後。 「ギャア〜」この世のものとは思えぬ凄まじい悲鳴が上がった。 オーマイ・ゴッド! 慌ててドアを開けた。僕も大急ぎでクララ姉ちゃんのとこへ飛んで行った。 涙ぐんでいる姉ちゃんの足元に、胎盤に繋がった仔犬が1頭産み落とされていた。 ひとりぼっちにされ、焦ってお母んに追いすがろうと力んだのだ。 「クララでかした!偉い!いい子だ!」 思いつく限りの誉め言葉を連発しながら、お母んがナマコみたいな仔犬と胎盤を拾い上げた。 それから頭部の胎膜を剥がし、臍の緒の先を指で押し潰し、仔犬側を固定して臍を手で千切った。 次に仔犬と同じ大きさの胎盤を捨て、タオルで乾かしていくと産声が上がった。 その間わずか5分。用意してあった管止も鋏もガーゼも忘れたらしい。 「ヨーシ。元気な子だ。」呆然としているクララ姉ちゃん。 まさか、自分の身体から他犬が出てくるなんて夢にも思わなかったのだ。 僕だって生命の不思議に唖然としていた。 赤ちゃんの産声に、トントンママが大興奮の叫び声を上げた。一目散に飛んできてペロペロ舐め始めた。 「あんたの娘まだ気張りますさかい、頼みますわトントン。」 「2番目の子が頭出しているよ。さあイキんでクララ。」 頭といっても胎膜に包まれている為、ぬるぬるの小さなタマタマしか見えない。 クララ姉ちゃんは力むどころか、立たせてやってもヘナヘナ座りこんでしまった。 痛いのはイヤ!もう絶対イヤ!とばかりに断固拒否の態勢で身体をクニャクニャさせている。 お母んがしきりに励まして、お腹を擦ったりするがまったく身じろぎせず知らん顔だ。 僕はアッチへ走りコッチへ戻り、見るものが多すぎてどうやって視点を定めたらいいのかわからなかった。 少年助産夫の僕は、好物のクロワッサンを分けてもらった。 お母んはコーヒーを流し込みながら分厚い本をめくって何か考えていた。 しばらくして言った。 「これから獣医さんへ連れて行くわ。」父上に車の手配を頼んだ。 生まれた仔犬も一緒に連れて行くのだ。 次に、お母んがクララ姉ちゃんを抱いて廊下へ出、僕が続いた。 3歩とあるかないうちに「グシャん*」という嫌な音が響いた。 オ〜マイ・ゴッド#★オ〜マイ・ゴッド*! 抱かれた拍子に力が入ったのか、赤ちゃんが1m以上の高さから廊下に落下したのだ! 少年助産婦のチンポコが縮み上がった。 尻尾がお股の下で丸まった。逃げ出したくても腰が抜けたみたいで足が動かない。 見ると、お母んも真っ青だった。 「クララ落とすなよ。」父上の声が聞えた。「仔犬はしょうがない、あきらめろ!」 「生きているわ♪この子!」お母んが安どの声をあげた。 トントンママがもう乗り出して、赤子を舐め始めていた。 元気な産声があがり、仔犬はすぐにクララ姉ちゃんのオッパイを飲み始めた。 ヤッタァー。す・すごい生命力だ! 今日は感動した。師匠にも報告しなくっちゃあ! 「少年助産夫ボンボンよ。」とそのときお母んが、感激でウルウルしている僕に言った。 「喜ぶのはまだ早い。残すこと後3つお腹にいるのよ。 父上はお仕事だし、これからきみに頑張ってもらわんとね。」 つづく 犬が1頭また1頭と増えてゆき、もはや身動きできないほど犬たちで我が家が埋め尽くされてしまうのだ。 恐ろしいのはこの犬たちが無邪気に尻尾を振って、「メシをおねだり」している姿であった。 相手が凶暴ならともかく、全ての犬が愛らしくて心理的に追詰められてしまうのだ。 目が覚めたときは汗まみれだった。 「親子で身籠っていたらどうしよう。」牧歌的なシナリオは崩壊。 子育ても問題だが、里親探しはもっと差し迫っていた。 ラサアプソは珍犬過ぎて、犬を飼おうとする一般人には候補として思い浮かばないのだ。 第一聞いたそばから忘れてしまう名前ではないか。 従って値段は高ピーではない。 高くはないが、欲しがる人も極端に少ないのだ。 これまでは素晴らしい飼い主に恵まれたが、幸運がいつまでも続くとは限らない。 こういう難しい物件を、よせばいいのに条件をつけるため苦労をしょいこむのだ。 条件とは、「犬にひもじい思いや淋しい思いをさせず、最後まで責任を持って可愛がって下さること」 一族で手塩にかけて育てたのである。出来ることなら手離したくないのだ。 しかし親子で2ケタなんてことになれば、里親なんて選んでいられなくなるに違いない。 悪夢はバーチャルリアルティーだった。 交配から1ヶ月後。 親子を検査台に上げた。 まずはクララのお腹にエコーの器械が当てられた。 白い丸いお玉がいくつか、モニター越しに動いていた。 「おー。たくさんいますね。妊娠しています。」 反対側のお腹にもお玉が2つ確認できた。 吸収される固体も出てくるので、出産の1週間前にレントゲンを撮る決まりである。 お次はトントンの番だ。私は緊張した。 モニター画面には大きな丸い物体が映し出された。 こ、これは・・・・? 主治医が微笑んだ。 「膀胱です。膀胱が満タンだ。どれ、もう片方は・・・・。」トントンにお玉はなかった。 やれやれ。 私は心から安堵の溜息をついた。 犬の妊娠期間は約63日。あとひと月だった。 つづく 出血が止まると同時にフェロモンが爆発するので、即座に家庭内別居。 別居中彼女は、大人しくクッションの端っこを噛んで性欲を押さえる事が出来た。 むろん壁にはストロングな字で「辛抱」と大書きした書が掲げてある。 「何というもったいないことを!」と人は嘆息した。 しかし、4回出産のうち2回帝王切開した為、ドクターストップが掛かったのである。 犬の帝王切開は3回まで大丈夫、いや5回までならなんとか、と諸説入り乱れているが、 主治医が「癒着が激しいからこの子はもう産ませない様に」と止めた以上従うほかないのだ。 実際2回目の切開後は本当に辛そうであった。 大量の出血。消耗しつくした身体。 子供を舐めてあげる力もなく、ボロ布のように横たわっていた姿が今でも目に浮かぶ。 獣医に「母体が危ないので、人口授乳に切り替えてもいいか?」と尋ねたら、 「初乳にはあらゆる抗体が入っているので、なにがなんでも母乳で育てるように。」 と説得されたのが昨日のことのように思い出された。 トントン「涙の引退」である。 一方クララは帰宅するなり、翌朝友人に預けた。 無学なこの娘は、身体のうずきで身も世もなく泣き叫ぶため家に置けないのだ。 なにしろ我が家には、稀代の女好き父息子が居るのだ。 すでに交配したのだから問題ないのでは?と思われるかもしれないが、 目的を達成しても、ヒートが終るまでは他のオス犬と交配してはまずいのである。 なぜなら犬の子宮は2つあり、精子が着床して受胎するまで時間が掛かるからだ。 そのため別な個体の精子が入ると、生まれた子の血統が交雑してしまうのである。 いわんや近親交配は問題外だ。 16日目トントンの桃のようにふくらんでいた陰部が急速に縮んだ。 ヒートの終了である。 念のためもう一日別居させ、翌日の夕方全員を車に乗せ旦那が散歩へ出かけた。 やれうれしや。肩の荷が下りた私は軽やかに晩御飯の仕度をしていた。 散歩から戻るなり旦那が言った。 「本当にヒート終ったの?散歩の間中、トントンがロッコ誘い込んで乗せていたぞ。」 「終ったわ。ご心配なく。」 オババになったトントンは出血の量も少なく、フェロモン期間もうんと短かった。 「でもこいつ魔性の女だからな。」 私はトントンを受け取ると、雑巾で足を拭いた。 それからお尻の毛を掻き分けて、見た。 家政婦は見た。 オーマイ・ドック!*☆# 私はその場で卒倒しそうになった。 縮んでいたものが、大きく大きく大きく膨らんで、モッコリムチムチ・・ピンク色に! ああ〜。 私は、9*1に分けた髪が突風で吹き飛ばされたハゲ親父のように、 つづく 双角子宮。 子宮角「しきゅうかく」が2つあり、犬や猫は人のように それから、受精も複数の牡の精子を受胎することは絶対にないそうです。 たとえば社長と専務のふたりの男がいます。 クララは社長と合体しました。 それから10日後専務とも合体しました。 妊娠しました。さて誰の子供でしょうか? 最初の合体で受胎していれば社長の子供です。 しかし、日にちが遅ければ専務の子供です。 たくさん生んでも、社長と専務のふたりの子供ということはありえないそうです。 私にしてみればお手当てを沢山いただきたいので ふたりに責任をとっていただきたいのですが 先生は生物学的にありえないと却下されました。
合体して30分くらい♂♀は分離できないのがノーマルだ。 カインとクララも、貝塚に張り付いたフジツボみたいにぴったりお尻をつけていた。 「離れたくても離れられない。やっぱり!これが正しい犬のセックスですよね。」 私は日頃の疑念を口にした。 クララの親父ロッコは早打ちなのだ。 激しく腰を使うが合体してもすぐメスから離れる。 通常犬の交尾は、オスの陰茎が完全にメスの膣内に挿入され、亀頭球が膨張、 この時点でオスは射精し、終わるまで充血した陰茎がしぼまないため 交尾に時間が掛かるのである。 今でこそ見られなくなったが、私が子供の頃は、東京でも犬の交尾は日常の風景であり、 母があたふたとバケツで交尾中の愛犬に水をかけていたものだ。 オバンのトロイ足と動作でも充分間に合うほど、犬の交尾は悠々のんびりしていた。 「ロッコのF16超高速戦闘機ばりの速さを見た時、 乗ってもすぐ降りるので、射精したかどうかロッコの下へ潜ってトントンが確かめるのだ。 彼女は納得できないと「やり直せ!」とばかりロッコをど突くのである。 ヒート期間、ロッコ親父は朝から晩まで責め立てられ、 3日目くらいになるとフラフラだった。 寝ているところ「ちょいと・アンタ」と叩き起こされて、悲鳴を上げ視線も空ろ。 絞った雑巾をさらに絞るものだから、足はもつれて大変なのである。 それでも、撃って撃って撃ちまくっていたF16・ロッコ。 しかし固定観念に縛られていた私は、こいつは早すぎて的を外している。 と確信していたのだ。 がどっこい、トントンは4回妊娠、13頭もの子孫を残した。 「カインの今日の仕事はおしまい。たんぱく質が出来るまで24時間くらい掛かるから明日またね。」 「すがすがしいセックスでした。実にきれいなお仕事振りでした。」私はお礼を述べた。 「チベットみたいに厳しい環境にいたら、」とカインパパがしめくくった。 「手早くしないと種の存続は不可能だ。だからロッコは床上手なんだよ。」 心配事は尽きないものだ。 クララが母親になったとして、育児が出来るのだろうか? 帰りの車中で、今度は新たな心配に思いを巡らせる私。 クララは宮沢りえばりの美少女だが、オツムがゆるい。 チョーゆるいといってよい。 トントンママの側に居ながら、子育てをまったく学習せず、子守ひとつ満足に出来ず今日まで来たのだ。 まあ、いいっか。と私は思った。 いざとなったらトントンママに手伝ってもらえば♪ クララより5日遅れのヒートで、ただ今隔離中のトントンママ。 ロッコ親父の世話から始まって、13頭の我が子を育て、 今度は孫子の世話とネンネコが一生取れない犬のおしんちゃん。 なに、もともと貧乏性の女◎ 「しゅうかん新潮は♪、今日発売されます♪。」 私は谷内六郎の表紙絵をトントンに重ねて、赤トンボを口ずさむのであった。 つづく カインパパは正直だった。 話題は飼い主が望んでも「絶対にさせないメス犬」についてだった。 1頭飼いで他犬とまったく接触させてもらえず、スポイルされて年取った子は最悪だとのこと。 「この間来たシェルティーがそうで、触ってすぐにこの子はダメだとわかった。」 とカインパパが嘆息した。 「飼い主にも伝えたけど、その通りダメだった。」 まずメンタリティーがオスを受け入れられない。徹底的に拒否するのだ。 「犬が怖いし、嫌いなんだね。」 それから体が問題。あのね、カチンカチンなのよ。 全然使わないとヒートが来ても、陰部が堅くなったままでオス犬を受け入れられないの。 「人が介添えしてもダメですか?」と私。 「そうだね。とても飼い主の方には見せられないけど。かなり残酷かもしれない。」ときっぱり。 「メスとはいえ暴れて本気で噛まれると大ケガするからさ。この間も噛まれた。」 めくったシャツの腕には噛み跡が見てとれた。 「拒否したらどうするんですか?」私の声が上ずった。 クララに何したんですか!とまるで拉致された家族のように、 「娘を返してください!」と詰め寄りそうになったものだ。 これはね、仕事だから。 カインパパは、福田官房長官のように心がない口振りで言った。 「口輪を嵌めてね、目隠して、両足を床に縛って。」 ああ〜それ以上、聞きたくない聞きたくない。私は遮った。 「そんなことしたらトラウマになりません?」 もう縛られないと燃えない女になるのね、クララ・・・。 美貌はマスクに隠され、鋲打ちの首輪がその細い首に食い込む。 音楽はジョン・ケージの無調の調べ。人はそれを変態という。 そう・・倒錯した行為に溺れ・・る?るッルル? クララとカインは。 ガッターイっ〜 合体!☆ ゲロンパ・ゲローレ♪ そのの鮮やかな腰さばきに、私は日野原先生となってつぶやいた。 「逝き方上手」 「カイン、いい仕事していますね。」 さすが犬界のサンデー・サイレンス。ゴルゴ13だ。 クララは米軍に攻撃されたイラク軍のように、抵抗らしい抵抗もなく陥落。 カインに撃沈された。 つづく カインを見て私の疲れは一気に吹き飛んだ。 休憩を挟んだとはいえ、雨中を高速で5時間も走って来たのだ。 カインはブルネットがかかった金髪、バランスの取れた骨格、デカプリオなお顔だ。 「来たな♀ 俺の堕天使・・・ふっふっ。」と尻尾を振っている。 「ハンサムバンザーイ♪バンザーイ♪♪」 とはしゃぎまくる私。 今夜はクララをカインの所へ泊め、私は近くにホテルを取っていた。 一泊二日の短期決戦。一発勝負だ! へその緒を切り、手塩にかけて育てたクララが、今、未知の世界へ旅立とうとしている。 私は胸がいっぱいだった。「クーちゃん。」と私は言った。 「カインはしょせん金で買った男。あなたの奴隷よ。」 オツムがゆるめのクララに理解できたかどうか怪しい。 家の中は犬の声でやかましかった。 カインのパパは犬のブリーダなのだ。 オスの征服欲を刺激するフェロモンをプンプン振りまいているクララに、みんな大興奮だ。 特にソーセージ犬ことダックス軍団がけたたましい。 ワンワン・ギャンギャン短い足を鳴らし、よだれをたらして、かぶりつかんばかり。 中には、ウンチを漏らしているスカトロ野郎までいた。 うるさい上に、50坪ほどの室内はコンクリート張りで、冷たく臭い。 こんな環境でどうやって愛が育まれるというのか? アニマルな環境にクララはすっかり怯え、カインが近づくと怒った。 カインは無理強いせず、つかず離れずの距離を保っている。 雨が小止みになったので外へふたりを連れ出した。 この辺りは都内でも、犬を飼うのに最高のロケーションなのだが、 残念ながら雨は止みそうもなかった。 カインはその美貌にふさわしく理性的だった。 並んで歩いてもけっしてマウント行為などしない。 慌てず騒がず、すっと近寄って耳元に何か囁く程度。 まるでおぼこ娘を口説く中条きよし。 つづく
美人犬クララを前にすると、人はこう嘆息した。 チベットで、ラサアプソ犬を始めて見たときの英国人も このモッタイナイ感にとらわれたのではないだろうか? これほどの美形をこんな田舎に置いて、美が刻々と朽ちようとしているのが モッタイナイ! 自分なんかの汚れた顔を、その哀愁を湛えた瞳でジーッと見つめている この一秒一分がモッタイナイ! 今、メディアでのさばっている小型犬がいる。 クーちゃんと呼ばれているようだが、並みのくせにタキシードなんか着て 人前にしゃしゃり出ているのが見苦しい。 クララもクーちゃんと呼ばれているが、誰にも注目されず 「見せない・させない・やらせない」環境に囲ったままだ。 それがモッタイナイ!と人は言う。 過日、旦那が飲み屋でホステスに「何て犬を飼っているんですか?」と聞かれたそうだ。 「言ってもわからないでしょ。」と黙っていたら、女の子がしつこく尋ね 「わたし、犬のトリマー3年していたんですよ。知らない犬なんていませんよ。」 というので、「ラサアプソ。」と答えた。 名前を聞いた途端、女の子「??」という顔で黙りこくってしまった。 で、「すみません。初めて聞いた犬種です。」 素直に謝った後、あれこれ話し「もったいない!子孫を残さないなんて!」 と溜息をついたそうだ。 そう・・・クララは永遠の聖処女。愛を知らない薄幸の美女よ。 とそのもったいない感を大い楽しんでいたボンボンママであった・・・・・ が、急遽9月の連休にお見合いが決まった。 相手はラサアプソ界のデカプリオ、東京のカインである。 よく「男はハートよ」と言う女がいるが、私はルックス派だ。 誰が何と言おうと男はルックスだ。 蛇足だが「たそがれ清兵衛」がヒットしたのは、 主演が真田広之と宮沢りえの美男美女だったからだ。 こんなに美しいふたりが、ボロ着にアバラ家という贅の限りを尽くした環境で、 黙って愛を耐え忍んでいる。この深いコク。ああーもったいない。 薄給感で美しさが一層際立つってものだ。 これが片田舎の貧乏な武士を竹中直人、思いを寄せるのが藤山直美だったら 日本のお父さんは絶対に認めない。 「たそがれ清兵衛エガッタ!」 は宮仕えに苦労する真面目な自分の姿を真田広之と重ね「図々しい・・」 そんな自分に、そっと思いを寄せてくれるのが宮沢りえ「ますますもって厚かましい」だからだ。 さすが最後の巨匠、山田洋次である。よくわかっておる◎ さてラサ界の宮沢りえを車に乗せ、デカプリオに会いに出かけていった。 サーつねりゃ紫 食いつきゃ紅よ 色で仕上げた アリャこの体 と昔習った端唄を口ずさみつつも、心中は心配が尽きなかった。 何でも、嫌がるメスを無理やり縛ってなぶる。押さえつけて犯る。 と聞いていたからだ。 泣き喚き、絶叫するクララを、バシッ! や、止めてください・・いっ。そんな・・・太いものを ロウソクなんて・・アーッ〜。血が・・血が。クララーア〜ア〜ンアン ハンドルを握るボンボンママの脳裏には、 バイオレンス・チックな妄想が駆け巡るのだった。 つづく
デアー・マイ師匠。おこんにちは。 覚えておいででしょうか?破門になった弟子のボンボンを。 師匠の更年期障害その後いかがですか? やれ腰が痛いの、生理が不順だの、ろくな男がいないだのとぼやいておりましたが、 梅雨空があけると同時に、バラ色の世界が訪れたでしょうか? 師匠の愛犬、大食いのグレースはこの夏ダイエットに挑戦させるという噂ですが本当ですか? それからワンコアミが今年オーダストップになったそうですね。 弟子のぼくが至らなかったばかりに・・・・。 でもそれもこれも師匠がイケナイんですよ。 週休3日制で3食昼寝にオヤツ付き、ボール2個にジャッキー300g、 夏はアイスクリームつけてね、というほんのささいな要求を師匠が、 「お黙り!ハナタレ小僧!」って一蹴したもんだからこんな結果になっちゃった。 ぼくの尽くしたいという気持ちも知らないで。 ところで、 ぼく「恋」をしました。「一目ぼれ」。 師匠聞いてください。 梅雨の谷間に皆で紫陽花を見に、愛宕山へ行ったときのことです。 皆とはぐれちゃってぼくだけ山の麓でウロウロしていました。 地面の匂いを嗅ぎながら追跡していて、ヒョイと顔を上げたら 白いロン毛をブルーのリボンで止めた美女が、ニッコリ微笑んでいました。 「キュンキュン」←ハンサムさんこんにちは。 「クィーン」←こんにちは。きみかわいいね。それにとてもいい匂いがする。バニラの香りだ。 すると彼女は尻尾を斜め45度の角度から、横へ大きイの字に流し尻尾を送りました。 ぼくは思わず「喘ぎ」ました。ぼくのパパは界隈では有名な色男です。 そのパパが女の前では、下品だから舌を大きく出してハァハァしてはイカンと教えてくれました。 だからぼくは気をつけて小さい前へナライのハヒハヒをしました。 「クンクン。ウォンワオワオ。」←ぼくはボンボン。匂いかいでいいかなあ? 「ワィーン」←わたしはクリーム。キスしたいの?いいわよ。あげるわ唇。 ぼくは感じやすい耳のところを優しくカミカミしました。 それから舌を使ってそっとクリームの耳の中を舐めました。 彼女はクスクス笑いながらお上手ね。ボンボンは見かけによらず遊んでるわね。って 尻尾をあげてお尻をサッと向けたのです。 ぼくの胸は激しくドキドキしました。 女がケツを突き出したからといってすぐに乗ってはイカン。 挑発しながらテストされていると思え。これもパパの教えです。 ぼくのパパは色の道の師匠なんです。で、クリームにハヤル気持ちを押さえ込んで聞きました。 「クォンくぉん?」←きみだれと来たの?そう聞きながらすっと脇から身体を擦ります。 初めてだ!優しく扱わなければ。 「愛撫」なでてさすってかわいがること。とは新解さんの言葉です。 「ウフーッ」←ママと一緒に来たのよ。でもそんなこともうどうでもいいわ。 「フワフワ・・・・ワォン」←ボンボンあなたの子供が欲しい・・・・・。愛しているわ。 わたし去勢なんてしてないのよ。本物の女。わかるわね・・・っ。 ぼくは彼女の望むとおり後ろへ回りました。クリームに「愛撫」をし、それからキス、キス、キスを降らせました。 愛を込めて。ハマったところをグリグリ責めてイってー・・・・。 「ウフーッ」←ああーステキよボンボン。あたし・・・もう・・・尻尾がピンピン。 ぼくもぴんぴん。ブンブンのびんびん。GTジーテーGT♪ぶんぶん♪ 「クリーム!クリーム!」 振り向けば朝青龍のようなオバハンです。 「ウンマァー!うちの子になんてことするのよ!」 オバハンは丸太棒のような腕でムンズとクリームを抱き上げると、 「クリームちゃん、ヘーンなことされなかった?フン!この大ばか者! わたしのクリームがもし妊娠したらお前に責任取って貰うからね。わかったか!」 と脅すなりサッサと行ってしまいました。 師匠、ぼくはどうしたらいいでしょうか? なんだか・・・体が・・・熱く・・・うっふん♪ あわわ、何を言わせるボンボン! これは犬の話じゃないかっ。人間の官能小説かと思ったわい。 大体やね、ボンボンのママにリチャード・ギア似の獣医を紹介しろって頼んでたのに、全くなしのつぶて・・・。 あんたのママはいい男もいい犬も独り占め! 根っから強欲な女なのよっ!! さてと、クルエラ最初で最後の不祥の弟子ボンボン。 しばらく音沙汰がないと思っていたら、なんと恋をしていたとは・・・。 あんたも男だったのね・・・、ボンボン。 だが、ちょっと考えてみなさい。 恋だ愛だと言うけれど、その根底にあるものはリピドーにほかなりません。 つまり下世話な言い方をすれば、「やりたい!」ということです。 犬の場合、人間ほど淫乱ではありませんから、 雌犬のその期間は通常年に2回、雄犬を受け入れるのは数日間だけです。 ボンボンは、丁度その時期の雌犬に誘惑されたわけです。 今度クリームちゃんに会っても、 「何のことよ?しつこいわね。ストーカーなの?」と言われるのが関の山です。 だから、冷静になりなさいボンボン。 運動や勉強を一生懸命しなさい! そして性欲をもっと高尚なものへと昇華させるのです。 と、その昔ドクトル・チエコは言いました。 いいですか?恋だなんて単なる錯覚です。 原始的な「種の保存」と言う本能です。 近所にまたいい匂いのする雌犬がいたら、すぐそっちに乗りかえるに決まっているんです。 欲望のおもむくまま、やりたい放題やっていたら、 あちこちにボンボンの子供が生まれ、ボンボンママが慰謝料を払いきれなくなりますよ。 時間が経てば、火傷するほど燃えていた恋心も、自然と冷めていくものです。 もしいつまでも劣情を押さえきれないのであれば・・・、 ボンボンよ!ちょん切っておしまいっ!! 年下の亭主ロッコを育てたのは彼女だ。 トイレの躾から我が家のルールまで全てトントンが教えた。 ロッコの渾名はトマホーク。 最近はブルテリアのグリコと柴犬のマリンが「五体投地礼・無条件お股開き」で彼に取り入っている。 今回は避妊の為にロッコにパンツを履かせていた。 ところがある朝、パンツを履いたまま庭でトントンに乗っているではないか??? と言いつつよく見ると、お尻は隠れている。背紐はしっかりパンツと首輪につながっている。 フェ、フェロモン尊師・・・。 Oh my dog!
犬界の玉の輿です。 一人っ子だったので体が大きく毛深い。 冬でもハァーハァー涎をたらしているのは、毎日グルメ三昧だからではないかと推測されます。 ある夏、リリがふといなくなりました。 リリの家は1階が店舗で2・3階が住宅です。 ご夫婦で家中を探し、猛暑で外へ出た気配はないが外も探しました。 しまいには夫婦喧嘩まで始まりましたが探し続けました。 屋上まで行き倉庫を見、鍵の掛かっているところも開けてみたりしました。 そこへお客様がいらして、豚ロースの塊を注文しました。 ご主人がロースを取りに大きな大きな冷凍庫へ入りました。 すると大鼾で寝ているではないですか! いつ入ったのか、それ以来夏が来るとリリは隙あらば冷凍庫へ入りこみます。 チベット出身だけあって簡単には凍らないようですが、それにしてもOh my dog!なリリでしょう。
|