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当日は這いずりながらティフアニーのランプを畳に置き、 ガレやラリックや中国製の骨董などのお宝を新聞紙にくるんで スーツケースに入れてしまいました。 非常袋はないので、買ったばかりのバーキンに、「もちワンコアミ付よ」 キャッシュだの懐中電灯だの薬だの犬のジャ-キーだの詰め、 ダンナに、「お前の人間性が出ている!」と小馬鹿にされました。 しかし、地獄の沙汰も金次第ですから、 食料や水が足りないと報道されていますが、 コンビニやスーパーは路上で水や弁当を売っているのだ! となるとやはりキャッシュは必要だ。 夜は恐ろしくて服のまま寝て、そばにメガネとガウン、腕に時計をはめて寝ました。 金目のものは全部持って逃げたいのですが、 犬5頭をふたりで分けて連れて行かなければならないので、 陶磁器はあきらめざる得ませんね。トホホ。 余震がすごくて本当に怖かった。 でもクララは、近所の兄弟犬の月千代のところへ、 「クララちゃん家に来る?」とママさんに誘われたら、 娘のワルツを残して自分だけサッサと行ってしまいました。 写真を撮り、よく食べよく寝ていたようよ。 犬は飼い主に似るのか? 今も船酔いみたいで、坐って立ち上がったりするとフラフラします。 余震で目が覚めました。
僕はまだ2才なのに、みんなに「ボンボンおじさん」と呼ばれて参っています。 「おじさん」と呼ぶの止めてもらいたい。 こんなつぶらな瞳をしたおじさんがどこにいるでしょうか? お母んに抗議をしたら、それじゃあ小さいおじさんだから 「チイおじ」と呼ぶことにしようだって・・・・涙。 さて新年そうそうですが師匠。 僕は今とても悩んでいます。 クララ姉ちゃんの子供たちはパパがいません。 そこで僕がパパ2号になることに決まりました。 パパは何をしたらいいか、どうすれば立派な親父になれるか ロッコパパに教えを乞いに行きましたら、 「お前の本当の父親は私ではない!」と一喝されました。 僕の本当のパパは誰でしょうか? 今回は、「父親探しと自分のアイデンティティー確立の物語」 といったハリウッドお得意のパターンじゃなかった。 僕のパパは、西のやすし、東の勝新、越後のロッコパパと言われたほど 無責任、奔放、暴れん坊な親父でした。 いま両巨星が去り、もはや日本一はロッコパパしかいません。 こんな親父に何を相談することがありやしょう? ね、師匠。 今日だってどこの馬の骨ともわからないシェルティーのマルコに、 「あーら、旦那さん今日も男前ね。」 なんて言い寄られてケツを擦り寄られておった。 僕の悩みは育児です。 ベビーたちがヨチヨチしながら慕ってくると、つい、つい。このように・・・・。 どうも自然に横になって、このようにお乳をあげてしまうことです。 この後チイおじさんは阿鼻叫喚!オーマイベビー! おちんちん〜欲しがるこの子がかわいい〜 ベビーたちは何を欲しがっているのでしょうか? 僕の悩みは深い! ボンボン つづく・・・のか?
母乳まで出る犬がいるのだ。 トントンはスーパーヘビー級母性女だ。 頭も抜群に良い。 環境に恵まれた彼女はこれまで13頭の子供と、亭主のロッコを一人前に育て上げた。 今回娘のクララの妊娠・出産というプロジェクトに トントンがどのような反応を示すか興味深々であった。 時に母性の強い子は、仔犬を拉致して自分の懐に隠してしまうという。 飼い主が取り上げようとすると、武力行使も辞さないほどだ。 トントンは危ない女だ。 母犬が仔犬の世話をしなくなるので、姑は遠ざけるようにプロからアドバイスされていた。 トントンは孫が生まれ落ちた瞬間から決意した。 この子達はクララに任せておけない! 私が育てるのだ! 婆やさんにお願いしちゃおう〜と。
photos by ボンボンママ & words by クルエラ
こう僕は助産婦日記に書いた。落ちた仔犬は助かった。 胎児より胎盤の方が重いので、落下したとき先に胎盤が衝撃を吸収しクッションになったのである。 また体膜で保護されていた事と、赤ちゃんの柔軟な骨格がちょうどゴム毬のような役目を果たしたのだ。 「これは時間かかりそうだ。」お母んが溜息をついた。 残る3つはまだ上にいて下りる気配がなかった。 「ひょっとしたらボンボン。今日中に生まれないかもしれない。 明日も出てこないかもしれない。 一週間、事によってはこの冬いっぱい・・・越冬ということに・・・」 それじゃあ南極観測隊だ☆ 僕は、クララ姉ちゃんを逆さに持ってケツを叩いたらどうかと提案した。 「殻に閉じこもっていないで、自分を解放しろ!」と下から闘魂注入するのはどうだ? 少年助産夫ボンボンよ。お母んは山本小鉄のように天を仰いだ。 「いいかい、よくお聞き。」出産は何日もかかることがあり、あせってはいかんのよ。 こういうことは計算して挑んでも上手くいくとは限らない。 時には、さっきのように過去の経験が効かない事態も起こりうるのだ。 「しかしだ、非常事態の時こそきみの闘魂を見せてくれボンボン。」 「1.2.3.ダァ〜」僕は握りこぶしを元気に振り上げた。 そうこうしているうち、非常事態はやってきた。 ベッドの敷物を取り替えるため、母子をダンボールに移動させた時だ。 クララ姉ちゃんが唸って踏ん張っり始めたのだ。 と、体膜に包まれて仔犬がゆっくり姿を現し始めた。う〜ん・う〜ん。 ぽっとん。 3頭目の仔犬が出た。臍の緒は胎盤と繋がっているが、まだ胎盤が出てこない。 「クララ、イキんで!」 う〜ん・え〜ん・ヒィーエ〜ん・・胎盤がズリズリズルッルルと這い出てきた。 僕は思わずコールした。「イノキボンバイエ!イノキボンバイエ!」 お母んは臍の緒を掴んで、クララにイキむよう指示した。 う〜ん・え〜ん・ ところがその出てきた胎盤が、今度はシャルるるるるズリズリといきなり逆行し始めたではないか。 し・信じられない!まるで遊星から物体Xだ。僕はイノキコールも忘れて息を呑んだ。 胎盤はヌルヌルスーイと産道へ吸い込まれていった・・・ そうしてぷっつん〜と消息を絶った。 「オーマイ・ゴッド!産道に胎盤が残ったら、後の2つが出て来れないじゃないの!」 お母んが指を入れて何とか掻き出そうとした。クララ姉ちゃんにビンタだ。バチーン! だが時すでに遅し。胎盤は出てこなかった。 僕は両手を激しく胸で交差させた。なんでだろうー、なんでだろうー♪ お母んは3つ目の子を手早く処置してクララのお腹に戻すと、獣医へ電話した。 残った子はどうしたらいいのか?帝王切開という言葉が飛んだ。 ボブサップに2分58秒でKOされた、曙のブタ倒れが脳裏をよぎった。 前にバタン!お肉がタプタプボヨボヨマットで揺れていた。 僕の個人的見解では3つ出たのだから、他の2つはいらないような気がした。 しかしクララ姉ちゃんはここへ来て急に燃える闘魂となっていた。 さすがに我が家のチャンコは違うな。 曙だってうちのチャンコを食っていたら勝てたかも知んない! ビンタが効いたのか、間もなく気合とともに姉ちゃんは4つ目を出産した。 最後の5つ目が出たのはお昼。 オス2頭、メス3頭。計5頭。 泣き声は大きいが、生まれたての子はまだ目も開かず、耳も聞えないのだ。 体重は200g〜180g。 お母んは、クララベビーは毛の色が全部似通っているため、 V6を前にしたおばちゃんのように、どの子がどの子か区分けがつかいないとぼやいた。 ボンボン、助産夫してくれてありがとう。お礼に100万円あげましょう。 クララとベビーは別の部屋で休ませるから明日お見舞いに行って頂戴な。 お母んはそう言って100万円をくれた。 僕は誰にも取られないように即食べた。 落し物の胎盤は、翌日から毎日垂れ落ち続け、それはひと月近く続いた。 つづく
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