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恩知らずの大脱走 完結編  by ボンボンママ  2005/7/8

駅までの商店はどこも顔なじみだ。
しかし、片端から店に飛び込んで聞いて回る時間的余裕がない。
視線を四方八方にやりながら通りを小走りに駆けた。
どすん!出会いがしら目の前の物体に跳ね返された。
「す・すいません。」
「びっくりした。」手に鉢植えを持った花屋のオバチャンだ。
「うちの犬見ませんでした?」
オバちゃんが首を傾げた。
「さぁー・気づかなかった。どの子がいなくなった?」
「一番大きいの。」
「そういわれてもねぇ。みんな同じに見えてしまって・・。」
「でしょうね。犬のジャニーズ事務所のようなものですから。
私もV6のメンバー覚えられません。」
「ブイソックス♪」オバちゃんが弾けた。
「知っているわぁタッキー!」
「タッキー!?」弾けた金歯がまぶしい〜ぜ。
「滝沢くん。大河ドラマに出ている子!」
「ブイソックスで一等かわいいのよ。うちの孫そっくり!」
孫ガリガリ君そっくりだろう。と言いそうになるのをこらえた。
イカン。こんなところで油を売っている場合じゃない。
私はオバちゃんに手を振ると駆け出した。
通りを渡り反対側を見ると、大衆食堂の店主が立ち話をしていた。
立ち話の相手はさっきのオババだ。
「犬見ませんでしたか?」
捕獲したよ。店主が即答し、オババが目を白黒させた。
それから事の顛末を話してくれ、ママロッコを送るはずだと教えてくれた。
「やれ、うれしや〜♪」大急ぎで自宅へ駆け戻った。
しかしロッコはまだ戻っていなかった。
すでに残り時間30分取りあえず戻った4頭に夕飯を食べさせた。

「クララちゃんどこ行ったのかしら。」月ママがつぶやいた。
ロッコの子供クララと月は同胎の姉妹で仲良しだ。
本家と分家は年中行き来しているので、ふたりとも犬の気性を知り尽くしていた。
「ワルツ慌てモノだから・・道路に飛び出さなければいいけど。」
福ママが眉を曇らせた。福とワルツはロッコの孫だ。
ロッコはマイホームパパでも好々爺でもなかった。
女と自分には甘いが他には厳しく、気に入らなければ子や孫をボコボコにしていた。
福たちにとってロッコは偉大な祖父であり、帝国の支配者、悪の化身
ダースベーダのようなものだ。
違いといえばダースベーダは「お前の父親はわたしだ」と告白したが、
ロッコは今でも知らぬ存ぜぬを通していた。
福が緊張したのも、ボンボンがトントンたちと行動を供にしたのも、
生存本能に駆り立てられたからであろう。
「そこの角曲がってみて。よく散歩で通るから。」
車は5丁目の角をゆっくり左へ折れた。

ロッコはなぜ単独行動をとったのか?
雷恐さに飛び出したものの、メスのヒートの匂いにたちまち懐柔されたのだ。
ひと嗅ぎひと殺キンチョール。まるで蚊のような男だ。
しかも一家の長でありながら、家族を捨て色恋に走るとはあきれてモノも言えない。
畜生にも劣る奴。」私は両指をボキボキ鳴らした。

ピンポーン
チャイムが鳴り、人の声と犬の声で玄関は蜂の巣を突っついたような騒ぎになった。
いよいよダースベーダと決着をつける時だ。
悪を永久に追放してやる!
私の足元を柔らかな毛がサッとかすめた。
次の瞬間、トントンが歓喜の声を上げてロッコに飛びついていた。

コンサート会場。
アルバン・ベルク四重奏団。シューベルト第14番二単調D810「死と乙女」
2階後方の席。
遅れてきた聴衆の中に、うつむいて寝息を立てている女がいた。
女の顔半分は眼鏡で占められていた。

おそまつ

ボンボンママから、ロッコ君とトントンちゃんの愛の歴史を物
語る写真を送って頂きました。
解説も全てボンボンママによるものです。


「1998年 チビがロッコです。
まだタマタマも出ないうちからトントンがこのように張り付いて、
痒いところまで世話を焼いていました。


「2004 これは昨年撮った写真です。大きいのがロッコです。」

愛とはこのように育むものなのですね。
しかし私たちがトントンの真似をして、
これから保育園の洟たれを世話をしても
食おうと思ったときにはヨイヨイになっていますな。」


一族郎党全員が怪我ひとつなく、
無事に家に戻って来れて、喜ばしい限りです。
それもこれも、ご近所・分家さんの
惜しみない協力があってこそ。
ボンボンママの権力・・・いや、
常日頃のコミュニケーションの良さの現れでしょう。
ところで、ご近所さんには、
とてもユニークな方が多いようですね。

しかしロッコ君、メスのヒートの匂いに血迷い、
家族を捨てて突っ走ったとは!
いくら帝国の支配者とは言え、
今時でしたら、奥さんに多額の慰謝料を請求され、
家から放り出されるところです。
ところがところが、
さすが「おしん」と呼ばれるトントンちゃんです。
浮気のひとつやふたつで、
ロッコ君への愛が揺らぐことはありません。
「あなたは船、私は港。
船は必ず港に帰って来るものなのよ。」

ボンボンママの最後のオチが洒落ています!
まるでオー・ヘンリーの短編のよう
ちなみにクルエラは、日常的に眼鏡で顔をカバーし、
外出時には度入りサングラスで、
より強力にカバーしております。
げっ。これってサッチーって感じ?

by クルエラ



恩知らずの大脱走 Vol.  by ボンボンママ  2005/6/21

駅前の食堂。午後の暇な時間である。
店主は外へ出ると、降りそうで降らない空を見上げた。
雷はもう収まったようだ。
舗道では1頭の犬が電柱の匂いを嗅いでいた。
よく見れば首輪もなければ、飼い主もいない。
犬はふと顔を上げると、毛むくじゃらの顔でキョロキョロあたりを見回した。
じゃないか?」店主は店の中にいる奥さんに声をかけた。
福というのはお向かいのカフェの愛犬だ。
「福」と呼ばれて、犬の表情がパッと変化した。
「まあ、ちゃん。どうしたの?」渡鬼のピンコのような女将が言った。
「ちょっと見ない間ずいぶん大きくなって!」
店主が即ケータイを取ってカフェに電話した。

マスターが急ぎ足で通りを渡ってきた。
なら家にいるよ。」
「どこの子だ?」
「本家に電話して聞いてみるよ。どれ重いなぁ。」
本家とはボンボンママ家だ。
クララの倅で分家なのである。
犬は抵抗もせずマスターに抱かれ、往来を渡った。
いつも、福は自分の家に他犬が入れば怒りまくる。
しかし今日は突然の闖入犬にもかかわらず、おとなしく場所を譲った。
それだけではない、まるで上官を前にした下仕官のように固まっている。
「ああ。キテイさんの匂いがする〜。」カフェのママが叫んだ。
「キテイ」とは行きつけのトリミングサロンだ。
本家に電話しても誰も出ない。
夫婦で相談の結果、別の分家へ迷い犬を連れて行くことになった。

「まあ。ロッコちゃんじゃない!」ママが叫んだ。
車中でロッコが嬉しそうに尻尾を振った。
福ママが説明している最中、町内会のヒラメさんがやってきた。
ちゃん家に居る?」
「いるわよ。」
ヒラメさんによると、たった今、月とソックリの子たちが連れだって5丁目を流していたのを目撃。
御注進に来たのである。
そこへタラコさんが来た。
「あのね、サノ魚屋さんの前にちゃんたちが歩いていたわよ。」
福ママと月ママが顔を見合わせた。
「オーマイ・ゴッド!」
ふたりとも即座に本家の犬たちが、飼い主不在の間に大脱走したのを悟った。
5丁目も魚屋もかなりの距離だ。
「車に轢かれたらどうしよう!」
「さらわれたらどうしよう!」
「捜そう!」
ふたりと一頭を乗せた車がアタフタ発進した。

つづく

ボンボンママから届いた写真。
タイトルは「一族郎党」だそうです。
ウヨウヨ。


本家の犬達が大脱走したばっかりに、
分家を巻き込んでの大騒動に発展したようですね。
まるでサザエさんを見ているようなドタバタ騒動に、
ほのぼのとした気持ちにもなりましたが、
それもこれもロッコ君が無事だったらの話です。

そしてご本家として地元に君臨するボンボンママ
見事なまでに、ラサアプソをご近所中にばらまきましたね。
その地域のラサアプソ密度たるや、
ラサアプソの生まれ故郷、
チベットよりも高いのではないでしょうか?
そこの通り、ラサアプソ通りとか呼ばれていたりして。

by クルエラ



恩知らずの大脱走 Vol.  by ボンボンママ  2005/6/10

たるんだ箇所を引っ張り上げ、微細な陥没とひび割れを埋め、色むらを補正と
これでもかこれでもかという基礎工事を施してのナチュラル
最近はボトックスだのヒアルロン酸だの、
切って耳の後ろに引っ張り揚げるフェイスリフトといった悪魔のささやきが聞こえるが、
幻聴かのぅ?クルエラ

切符を取りに駅に行くと、上空に稲妻がピカピカ走り雷鳴が大きくとどろいた。
駅で用事を済ませ、今度はスーパと薬局へ行き自宅へ戻った。この間20分。
時計を見ると午後5時だ。
6時過ぎには仕度を済ませて出ないと、開演に間に合わない。急げや急げ!
自宅の駐車場へ戻ると、顔なじみの御用聞きが言った。
が逃げたんですよ。」
「エェっ?!」まさに晴天のヘキレキだ。
「誰が?」
全員!」
「ヒェ〜・・・!」
「さっき4頭戻ったけど、1頭が見つからないそうです。」

あたふた玄関を開けると、犬たちと一緒にダンナが出てきた。
今日はコンサートのため仕事が早仕舞いなのだ。
私は犬たちを見て言った。「みんないるじゃない。」
ロッコがいないんだ。キミ開けっ放しで出た?」
「閉めていきましたよ。」「変だな・・・。」
私が出かけている間に、近所からダンナに「犬が逃げた」という電話があったのだ。
ちなみに我が家は職住一体。2階が仕事場である。
階下へ降りるとスリッパがなく、5頭全部いないので散歩へ出たと判断。
戻って電話の主にその旨を伝えた。
ところが直後に犬の鳴き声がしたのでドアを開けた。
すると、トントン母ちゃんと2頭の子供、それに孫の計4頭が、
玄関ドアの外にいたのである。
一族の長だけ行方不明とはいったい何が起きたのか?!

ロッコ探してくる。」
私は激しく動揺しながら駅の方へ向かった。
犬の習性で交差点がある場合、たいてい左ではなく右方向へ移動する。
私はそれに賭けた。
我が家から駅まで徒歩3分。すぐさま、向こうから歩いてきたオババにたずねた。
「犬を見ませんでしたか?」
オババが胡散臭そうな顔をした。
いきなり見知らぬ女に犬を見たか?とたずねられたら誰だって迷惑であろう。
「ラサアプソ犬・・・」そこで、はたと思った。
誰がラサアプソなんて知るか
「あのぉ〜。金髪でこれくらいの大きさで」と両手を広げてみせる。
「道路をこう〜、でもって掃除して歩いているみたいな・・」
「ゴージャスな犬なんですぅ??」
説明すればはるほどドツボにはまり、オババの顔がますます歪むのがわかった。
「ああー、すみません。もういいです。」
私は逃げ出すように再び走った。
あのアホタレ見つけたらとっちめてやる

つづく


最高の晩餐を前にして、
期待と戸惑いの表情を浮かべるロッコ君。
恐らく脱走前に撮った写真だと思われる。
もし脱走後であったなら、
こんなご馳走は食べさせて貰えなかったであろう。
これが最後の晩餐になっていないことを祈る。

ラサアプソ ジャパンのサイトでは、
最高の晩餐」を好評連載中!
シリーズその3では、
めくるめく美食の世界をボンボン一家が堪能!
まさにお犬さまの満漢全席である。
人間は即読むべし!が、犬には決して読ませるな!


雷と言うヤツは、ほんに因果なものですね。
こいつのせいで、どれほどの犬が恐怖におののき、
錯乱・発狂、そして脱走を繰り返したことでしょう。
最悪命を落とした例も、幾度となく耳にします。
犬が雷を怖がらなくなる方法を誰かが発明したなら・・・。
犬飼いからはノーベル賞贈与の声が上がる事でしょう。

自分の犬を、犬に詳しくない見知らぬ人に説明する時、
一体どんな言葉を使えばいいのでしょう。
「とっても可愛くて、お利口で・・・・。」などと、
主観的な思いを伝えても相手には全く通じません。
常日頃、第3者的な眼で観察する事が必要です。
結果、「毛並みが貧相で・・・。」とか、
「鼻の横にハゲがあって・・・。」とか、
「いつも口をだらしなく開けていて・・・。」とか、
愛犬を侮辱するような言葉を使う事になっても、
それによって愛情が損なわれる訳では無いのでご安心を。

犬の習性で交差点では右に曲がる傾向があるというのは、
クルエラ初めて知りました。勉強させて頂きました。

by 悪魔のささやきがハッキリと聞こえているクルエラ



恩知らずの大脱走 Vol.  by ボンボンママ  2005/6/8

我が家は楽園と信じ込んでいた。
友人たちは遊びに来ると必ず言ったものだ。
ボンボンママになりたい。」
庭付きの屋敷に、メイドつき「むろん飼い主のことだ。」
で何不自由なく暮らしているお犬様たち。

しかし、若・貴兄弟の二子山部屋が崩壊したように、
ボンボンファミリー脱走したのである。
昨日まであんなに幸せそうだったのに!

その日は朝から分刻みの忙しさであった。
夜コンサートがあり、翌日から2日間家を留守にするためバタバタしていた。
午後の散歩は早めに切り上げなければ、7時の開演に間に合わない。
散歩から帰るころ雷が低く鳴りだし、雨がポツポツ降り始めた。
ここ2年のうちに何故かロッコ親父とクララが、雷を恐れるようになった。
雷が始まると挙動不審になり、人の側から離れないのだ。
モノを破壊することはないが、尋常ならざる反応を示すことがあった。
案の定、クララが脅えたように瞳を見開き、
ロッコはそわそわしていた。
しかし、こんな奴らをいちいち甘やかしていてはこちらの身が持たない。
本日多忙なのだ。
玄関先の廊下には、犬が飛び出さないように開閉式の仕切り扉がある。
この日は急いでいたため、ロックをせずに紐で引っ掛けただけで
近所へおつかいに出た。
戻ったらすぐさま、着替えてクラッシックコンサート用の
上品なナチュラル・メイクをせねばならん。
子ギャルのような眉ホソ、マスカラのテンコ盛りなら楽なのだが、
シミ、ソバカスだらけの「オバはんのナチュラル」は
エラク時間が掛かるのである。

つづく



こんなに威風堂々としているのに、
雷が恐いと言う弱気な一面を見せるロッコ君。
意外な一面を見せて、
また♀犬を口説くつもりなのか?

ラサアプソ ジャパンのサイトでは、
最高の晩餐」を好評連載中!
の食について、面白真面目に考えています。
近日中には、wanko-ami常連さんの
手作りごはんも紹介されるらしい。
要チェック!


ボンボンママさま、お久しぶりです。
ご無沙汰している間に、
またまた新たな事件が勃発していたようで。
ま、5頭も犬がいりゃ、日々事件の連続でしょうが。

しかし今回は、いくら事件には慣れっこのボンボンママでも、
相当な打撃を受けたことでしょう。
クルエラの頭の中で、
涙ながらに訴える元ニ子山のおかみさん
憲子さんの姿とボンボンママの姿が重なり合いました。
「凛として・・・。」

この先一体どうなったのか・・・。
期待と恐れを抱きつつ、続きを楽しみにしています。
そして若・貴兄弟の今後の展開にも目が離せないクルエラです。
つくづく幸せって儚いものですね・・・。

by 人一倍ナチュラルメークに時間がかかるクルエラ